「わぷー」(Wapuu)は WordPress.orgexit_to_app の日本公式キャラクターです。

GPL バージョン2(またはそれ以降)のライセンスのもとで公開されており、作者(つまり著作権のオーナー)は カネウチカズコexit_to_app さんです。

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WordPress のロゴマークは日本で商標登録されていない

「わぷー」に関して説明している WordPress.orgexit_to_app のページ(以降「当該文書」と記載)を見る限り、その二次利用、あるいは商用利用に際しては、GPLv2 のライセンス条項に加えて WordPress Foundationexit_to_app の許可が必要であるように読み解けますが、果たしてその法的根拠は何でしょうか?

当該文書に記載されているように、WordPress®W マークが商標登録されているのであれば、それを含む「わぷー」の利用もまた WordPress Trademark Policyexit_to_app に準ずるというロジックは筋の通ったものですし、そのように排他的に(あるいは独占的に)当該商標の利用を制限する、充分な法的根拠があるといえるでしょう。

しかし、「わぷー」に使用されている WordPress ロゴマークはアメリカでは商標登録されているものの、日本では登録されておりません。

日本で登録されている WordPress 関連の商標
日本国内における WordPress の登録商標は、当該文字商標一つのみ。(画像は 独立行政法人工業所有権情報・研修館 National Center for Industrial Property Information and Training の提供する 特許情報プラットフォーム®J-PlatPat®)の画面をキャプチャしたもの)。

「わぷー」も商標登録されていない

それでは「わぷー」(あるいは Wapuuというキャラクターの名称はどうかというと、これもまた商標登録されておりません。

そのため、当該文書に記載されている「許可無くグッズなどを作って販売することはご遠慮ください」という件は「法的な根拠が一切ない(単なる)お願い」ということになります。

もちろん(例え登録商標でなくても)商標であるという事実には変わりがありませんので、WordPress Trademark Policy に準拠することを利用者に求めることは可能ですし、利用者としても普通はそうすることでしょう。

しかし(特許庁に)出願されていない商標は、日本の商標権では保護されていないのです。

GPL に準拠した利用であれば著作権の侵害とはならない

一方、著作権の観点から見た場合はどうでしょうか。

その場合も、著作権のオーナーが GPL バージョン2(またはそれ以降)としてライセンスを付与している以上、当該キャラクターが GPL の元に「正しく」(ライセンス条項に記載されている以上の特別な制限を受けずに)複製され、ビジネスに使用されることを WordPress.org(あるいは WordPress Foundation)は止めようがありません。*1

さらに悪いことに第三者が「わぷー」を商標登録してしまえば、WordPress.org はこのキャラクターの名前を変更しなければ、逆に訴えられる危険性すらあるのです。*1

特定のGPLソフトウェアの名称が先に第三者に商標登録された場合、もはや当該GPLソフトウェアや開発プロジェクトはその名称を使用できなくなり、プロジェクトを継続するには改名を余儀なくされる。
  • なお、私は単に法的根拠について言及しているだけであり、これらの行為を推奨しているわけではありません。

日本において WordPress の商標は充分に保護されていない

つまり、日本における WordPress は、米国のそれと比較して充分なコントロールが出来ていない状況にあるのです。

これは何も「わぷー」に限った話ではありません。WordCamp もまた同様に日本においては商標登録されていないのです。

誰がわぷー(Wapuu)を守れるのでしょうか?

本日(2017/06/24)より WordCamp Kyoto 2017exit_to_app がはじまります。きっと多くの方々が参加されることでしょう。

それだけの規模感になっている、この WordPress という製品の日本における商標のあり方について、関係者の方はこの機会に今一度見つめ直してみては如何でしょうか。商標登録はコストがかかる対応ではありますが、大切なものを失ってからでは遅いのです。

WordPress の事を守ることが出来るのは、きっとあなた達だけのはずですから。

免責事項

なお私は弁護士ではないため、この記事は「法律上の助言」として受け取られるべきではありません。著作権法および商標法は複雑で解読が難しいため、関係者におかれましては、独自の調査を行い適切な人に連絡して法的助言を受けるようにしてください。




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